人事(労働法)関係の学習について

数年前から、少し人事系の色を強めようと労働基準法を中心にまとめて学習したので、参考になった本などのまとめ。

私は10年前位まで、人事領域に非常に苦手意識(と言うか「嫌い」という意識)を持っており、法律の知識も不十分だったため、かなり初歩的なことから学び始めている。

そのため、ある程度知識が有る人からしたら「こんなレベルの本を(嘲笑)」といった本も有るだろうし、もっと良い本も色々と有ると思う。
ただ、そのようなド初心者から、取り敢えず人事についてそれなりに語って顧客から「人事専門のコンサルタント」と言われるようにはなったので、参考程度にはなるかと思います。

労働法については、条文を正しく理解していることは当然なのだが、それと同等以上に判例の知識が求められる。顧客との話の中でも、具体的な事例について「これは法的に認められるのか」という問いになることが多い。

「法的に明確にダメ」というのは分かり易いが、必要なのは「ギリギリどこまで認められるか」ということ。
弁護士や社労士に相談しても、ビジネス上で頼りにならない人は法律に杓子定規的に照らして「それは認められない」と言うだけだが、頼りになる人は「それだと違法だが、こうすれば認める」といった、条文だけでは読み取れない「境界ギリギリセーフ」を教えてくれる。

アドバイザーとしてはこのようなことが必要であり、そのベースが判例だと思う。

こういった考えから、まずはしっかりと基礎を身に付け、その上で「何がセーフで何がアウトなのか」という感覚を付ける、という意識で学びを進めた。

労働法を(労働法に限らず、何か新しいことを)学ぶ上では、まずはザックリと全体を理解することが必要。

その上で良いのは下記の本。

この本は、労働法の初学者が全体像と重要なポイントをしっかりと理解できるように書かれているもの。
私は法学部でも無ければ、法律についてしっかりと学んだ経験も無いが、それでも十分に理解できる。何よりも、法律の本にしては珍しく(?)読み易い。

その上で、以前に下記の本を読んだ。

この本は要点がしっかりと書かれており、恐らく、通常のコンサル案件で求められる労働法の知識については網羅していると思う。

しかし、この本はどちらかと言うと「法律の本」という感じで、人事業務に即した法律知識、という点で少し足りないと感じることが生じて来た。
例えば、制度設計の上で裁量労働制の適用条件などを確認したいのだが、これらが分からない。

また、そもそも労働基準法等で何が書かれているのか、という少し網羅性を持った形での理解が(法律をしっかりと学んだことが無い身としては)必要だと感じたので、手を出したのが社労士のテキスト。
条文に沿っての説明がされており、かつ、必要な部分については手続きの要件等がまとめられているので、上記の目的に照らすと良かった。

社労士の受験には記憶が必要だが、コンサルの仕事上は細かく記憶していなくても、「こういうことをするためには要件を満たす必要が有った」という記憶さえ有れば、その場で調べることが出来るので、それで十分だと思う。

ちなみに、私は社会保険系についても少し知りたかったので下記の本を使ったが、労働法だけであればこの本は向かない。いかんせん分厚いし、読み辛い・・・。
じっくりと読むと理解し易かったので、私には良かったが。

これらを学んだ上で、実務的に役に立ったのは下記の2冊。

法律に関わっている人に、どのように判例を学べば良いか聞いて教えて貰ったのが前者の本。「社労士でも、この判例をしっかりと押さえてれば十分なんじゃないか」と言われて参考にしている。

加えて後者の本。この本が非常に便利。
Q&A式の本だが、そのQが実務的なので、そのまま使えるという内容の本。

人事系は、経営者との話の中でも唐突に「こういうことって法的にどうなんでしたっけ?」という問いを受けることが有る。
その際に、この2冊の知識を持っておくと、答えの質がかなり変わると思う。

戦略コンサルタントとしてどこまで知識を持っておくべきなのか、この判断は難しいが、人事と経理は企業経営を考える上で避けられない領域。

最初の2冊レベルの知識は必須。できれば、最後の2冊も知っておいた方が良いかな、と感じる。
社労士の本は、学習を進めて必要を感じたら、で良いと思う。

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