ファイナンスの学び方

随分と前に書いた記事。

この相談をして来た人から、「コンサルとして生きるとした時、どのようにファイナンス等を学べば良いのか」という追加相談を受けたので、この点について。

大前提として、複式簿記の考え方はしっかりと身に付いている必要が有る。正確には「複式簿記で考え、語れるようになる」ということが必要。

コンサルタントであれファンドであれ、会計や財務の基本は、会社の中での様々な行動等が財務3表にどのように射影されるのかを理解することだと思う。
この際の言語が複式簿記になる。
経営上の判断、行動の一つ一つがどのような仕訳として表現されるのか。これをしっかりと説明し切れるようになることがスタートだと思う。

この点については、簿記の資格取得が手っ取り早く、取り敢えず2級を取っておけば良いと考える。

その上で、「理論」をしっかりと頭に叩き込むことが極めて重要。
これは会計・財務に限った話ではないが、理論を疎かにしたままでは応用が利かなくなる。かなり限定された条件下での作業であれば問題無いが、条件が変わった際に自分で対応できない。

理論については、これも以前書いた記事に推奨書籍を挙げたので、まずはこれを参照して頂きたい。

ここに挙げたものに加えて、バリュエーションについての知識を習得するのであれば、下記の本を読むと良いと思う。
どれも定番本。

ちなみに、戦略コンサルタントの範疇であれば、McKinseyの本はそこまでしっかりと読まなくても良いかも知れない、と最近は思っている。

確かに、がっつりバリュエーションをする、というのであればMcKinseyの本のレベルは不可欠だと思うのだが、本当にこの本の要素が求められるレベルだとすると、FASなどに依頼をした方が良いと思う。
戦略コンサルはやはり、専門家ではない。法律や財務・税務等の専門性が求められる領域は、専門家に頼った方が良い。

M&Aに関して、戦略コンサルタントとして経営者の側に立つ時、必要なのはむしろ、FASなどが出して来たバリュエーション結果をどう解釈するのか、妥当性をどう考えるのか。この部分。
その際には、「企業価値評価の実務Q&A」の方が遥かに有益だと考えている。

特にDCFなどは、前提の置き方次第で全く異なる結果になる。
その中でも、特に割引率。これをどのように考えるのかが極めて厄介。

この本は、「どのように考えるべきか」、「それがどのような意味が有るのか」という点についてしっかりと答えてくれているという点で、非常に良本だと考えている。

とは言え、前提知識が必要な本ではあるので、ざっとで良いので、この本を読む上でMcKinseyの本を読んでおいた方が良いとは思う。

そして、理論を学んだ上で重要なことは、「様々な会社を見る」ということだと思う。

変化の激しい企業の中で、自分自身が興味を持つ企業を選び、10年とか20年といった期間の有価証券報告書等を集め、眺めることを繰り返すと良いと思う。
財務諸表上でどのような変化が有るのか、それは何によって生じているのか、その意図は何のなのか。

これを考え続けることが、財務の頭を育てる上では有効かと思う。

なお、バリュエーションは実践の場を経験する以外は無いのではと思う。
感覚的な要素も大きい。

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