コンサルタントは「如何に早く顧客から離れるのか」を意識することが必要

ファームで生きていると、「リピート受注に繋げる」ということが非常に重視されるし、ファーム運営の観点から考えても、これは生命線になる。
新規案件に比べてリピート案件は営業効率が格段に高いし、案件を進める上でも既に関係性や組織理解が深まっているため、色々とやり易い。

とは言え、リピート受注には「良いリピート」と「悪いリピート」が有ると思う。

まず、本来的なリピート受注というのは同じテーマについてだが、同じ顧客から別のテーマでの打診を受けることも含めて考える場合が多い。そしてこの「別のテーマでの受注」については文句無く「良いリピート」に入るはず。

一方で同じテーマでのリピートについては、中身をしっかりと考える必要が有る。

そもそも、顧客にとってコンサルタントとは「日常」ではないと思う。
コンサルタントの種類によって状況などが異なるので一概には言えないのだが、顧客にとって「自分達だけではどうにもならない」という状況、謂わば「非常」状態における支援が本来的な役割だと考えている。それが故に高い単価を頂ける。

そして、コンサルタントのゴールは、顧客を「日常」に戻すこと。「日常」にコンサルタントは居ない。
つまり、コンサルタントは「コンサルタントが居ない」状態を作ることがゴールのはず。

営業責任を負うと、どうしても収益を稼ぐことが必要になる。その時、関係性が出来た顧客というのは、言うなれば「稼ぎ易い」存在に映る。

私自身がマネジャーだった頃にあるパートナーから言われたのが、「顧客が俺らを使わざるを得ないようにしろ」という指示。
リピート発注をせざるを得ないように持って行くことは難しくはないし、むしろ、より大きな案件を意図的に「作り出す」ことも出来る。

しかし、それが顧客にとってベストなことなのかは別問題。
ファーム内におけるリピート案件についての会話は、「顧客にとって」という視点が抜け落ちることも少なくない。

これはプロフェッショナルとして致命的。
「顧客利益第一」はプロフェッショナルの大前提というべきもので、これが無くなったら単に「営業担当者」になる。

それ以上に私の中で気を付けているのは、顧客からリピート案件についての提案を求められた時。
何となく「顧客が求めているのだから」と考えがちだが、単に「依存症」になってしまっている危険性が有る。

予算的に余裕が有る企業の担当者にとって、コンサルを使うことはある意味では楽なことでもある。任せっきりに出来るし、何か有った時にも責任転嫁が出来る。
しかし、だからと言ってコンサルを使い続けるのは健全ではないと思う。

少なくとも「戦略コンサルタント」であるならば

  • どこまで支援すべきで、どこからは「自立」させるのか、という線引きをする
  • 支援の過程で、「自立」に向けた準備をする

ということについて、常に意識を払うべきだと思う。

どういうステップで変革を図り、どの段階まで自分達が関与するのかは、予めイメージを持っておく。そして、関与する段階が終えるまでに、顧客側の意識と、その後の行動に必要なことを整える。

「優秀なコンサルタント」というのは、短顧客の行動を変えるための計画と、その実行に向けた態勢を、短期間で整えることが出来る。
そういった人を言うのだと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です