この時期に良く受ける質問として、「新社会人になるまでに、どんな本を読んでおいた方が良いですか」というものが有る。
私の考えとしては、学生の最後の時間を本を読んで過ごす必要はないと感じている。本を読むのは社会人になって幾らでもできる。
それよりも遊び倒した方が良い。もしくは旅をしまくるとか。
ただ、今年はそういうことも難しいし、本を読むのが好きな人は本を読み耽るのも良い。
好きなことに好きなだけ時間を使うことができるのが学生の特権なので、それを存分に使い、「将来の役に立つために」という目的を外して好きなことに没頭して欲しいと思う。
カラカラになった方が、社会に出てからの吸収力が上がる。
とは言え、質問を受けたことに対する答えとして、「若手社会人に読んで欲しい本」という観点で。
(気楽に読むことができ、かつ、「節目」を迎える際に良いと感じるものを)
1. 2020年6月30日にまたここで会おう
若くして亡くなられた瀧本哲史氏の本。扇動的な感じの内容だが、これからの日本を変える優秀な若手社会人には読んでおいて欲しいと思う。
書かれている内容は、至極正論。当たり前のことが書かれている。しかし、社会に出て暫くするとこれらのことを忘れる。
その際に「どうせ」と諦めに入るのか、それとも正しい道に戻るのか。
青臭く、かつ、柔軟なうちにこういった本を読んでおくことに損はないと思う。
2. 知的複眼思考法
幾度かこのブログ内でも書いているが、この本はコンサルタントだけでなく、広く社会人として身に付けるべきことが書かれていると感じている。
コンサルファームの人の方が絶対的に思考方法について長けているような印象を持っている人(勘違いした若手)も居るのだが、事業会社でも仕事が出来る人は思考方法について基本は変わらない。(特性上、頭の働かせ方が異なるのは確かだが)
こういった思考方法は、若手のうちに癖付けることが必要。社会人になって早めに読んで欲しいと感じる。
3. 明日を拓く現代史
まえがきに書かれている、筆者が「全体を通して解きたいと思った問い」を記す。
- 米国がつくった世界システムとは何か
- なぜ日本は、そのシステムでうまく成長できたのか
- ここでいう「システム」とは、初めからすんなりできたものなのか
- 挑戦者として現れたかに見える中国は、この先どうなるのか
- 日本は果たして、これからも立派に生きていけるのか
現代社会を理解し、将来を展望する前提として必要な知識がしっかりとまとめられていると感じる一冊。
4. 戦後史の正体
学生時代に学んだ知識の中で、社会人になる際に一度入れ替えた方が良いと感じているのが日本史の、特に戦後史。
学校で学ぶ歴史というのは、それだけではあまり役に立たないと感じることも多く、その中でも特に戦後日本史は(そもそも深く学ばないことに加えて)得られるものが偏っている。
上述の「明日を拓く現代史」は網羅的にではなく「問い」に基づく整理になっているが、こちらは通史。セットで読むと良いと思う。
以上、ざっと思い付くところで。