コンサルファームで働く魅力

先日、twtter上で流れていて気になった「コンサルファームで働く魅力」という点について。

 

他の方が書いていたのは

  • 仕事内容
  • 成長スピード
  • 給料

という3点だったが、個人的にこれらは決定的ではないと言うか、これらの点だけで考えればコンサル以外に進んだ方が良いと考えている。

 

仕事内容は確かに面白い。非常に複雑難解、「理」だけではなくて「情」も絡めた解法を導き出すことが求められる。テーマも多岐に亘るので飽きることも無い。

一方で、コンサルタントとして携わる限界というのも当然有り、そして、それが決定的にもどかしさにも繋がる。

コンサルタントという仕事は手足を縛られた状態で、言葉のみで相手を動かすようなもの。どこかで「自分が主体者になりたい」と感じるところが出て来る。

そのため、仕事内容という点については「局面次第」だと思う。

 

成長スピードについても難しいところで、確かに汎用的なスキルを若いうちに一気に得られるという点では魅力だと思う。社会人3年目位までを見るとコンサル以上に成長スピードが速い業界というのは限られると思う。

しかし、これは若いうちに限ったことで、例えばコンサル一筋20年の人と、商社一筋20年の人を比べた時、どちらが優れているのかということは一概には言えない。

成長の軸(方向性)が違うので比較にならない。自分がどの方向に進みたいのかによって変わって来ると思う。

 

給料という点はまず前提として「生き残れたら」というものが付く。

あと、給料を魅力と感じてコンサルを選ぶと、入ってから続かないと思う。働く量やプレッシャーと比べると割に合わないと思う。

お金の面だけを考えるのであれば、「若いうちだけ」と割り切って投資銀行で働く方が遥かに良い。

 

では、何がコンサルファームで働く魅力なのか。

個人的には

  • 正論が正義とされる場であること
  • 知的好奇心を非常に高いレベルで満たす場であること

という2つだと考えている。

 

「正論が正義とされる場であること」

このような環境は希少だということを、特にプロパーのスタッフには知って欲しい。

(また、特に事業会社に転職する際には、この点に留意して欲しい・・・)

 

私は元々、「こうでしょう」と思ったことをストレートに伝えてしまうタイプなので、事業会社で生活をしていたら疎まれるだけだと思う。

しかし、コンサルファームでの生活の中では、若いうちの「勘違いした正論」であっても、それをしっかりと受け止め、正論で返し、議論してくれた上司・先輩に囲まれていた。

これは本当に恵まれた環境だと思うし、自分自身もこのような環境を維持することは意識している。

 

ちなみに、「顧客には正論が通じない」ということを不満に感じているスタッフも居るけど、それは間違っている。

顧客に通じていないのであれば

  • 自分が正論だと思っていることが、実は正論ではない(最適解でない)
  • 正論を通すための手段を採れていない

といういずれかの状態にある。

 

顧客に対する提言は、当然、自分自身がベストであると考えるものになる。

しかし、顧客側でそれを受け入れられない(通じない)のだとすると、前提条件や制約条件を見落としているという可能性が高い。

若手の考えを見ていて多いのは、その会社固有の組織風土であったり行動特性といったものを踏まえていないケース。確かに研修などでケーススタディとして取り上げるのであればそれは正解かも知れないが、顧客を相手にした実際の案件ではそれだけではいけない。

情的要素も含めて考え、その会社に対して何を提言するのか。

 

また、先方の社内政治が制約になることも有る。「担当者が保身に走っている」といった不平不満。

これも当たり前のこと。むしろ、顧客企業側からすれば、そのような人が居るからこそコンサルタントを雇う価値が有るのだと思う。

顧客という組織を動かす上で誰がキーマンで誰がボトルネックになるのか。その人達を動かすための手段はどうなのか。

 

こういった点まで頭を回す必要が有る。

 

「知的好奇心を非常に高いレベルで満たす場であること」

案件自体が知的好奇心を満たすということも多い。

自分自身が今まで認識もしていなかったような市場を見ることも有るし、調査・分析などを通じて競争原理などの表層的に見えないメカニズムが浮かび上がって来るような瞬間は至福の時。

案件が始まった時には霧に覆われて何も見えない状態だったのに、ある時ふと、視界が開ける瞬間というのが有る。この瞬間がコンサルの一つの醍醐味だと思っている。

 

しかし、これは常に感じられるわけではなく、案件の性質にも依るし、年にせいぜい数回だし、案件が実行フェーズなども含めて長期に亘ると数年間巡り合わないことも有る。

 

むしろ、コンサルファームで生活をしていて知的好奇心を満たしてくれるのは、優秀な仲間達との日常的な会話。

私の場合、提案の際など一人で考えていて詰まった時、雑談をしに行くスタッフというのが決まっている。

(スタッフからすれば、忙しい中にプラプラとやって来て数十分単位で時間を取られることは迷惑甚だしいとは認識しているが・・・)

 

まだ20代なのだが、仕事の面で優秀というだけでなく、非常に感度高いアンテナを持っていて、雑談の中で私のモヤモヤとした考えを整理するきっかけを貰うことができる。

そもそも雑談として楽しいという方が大きいが。

 

文化人などが集うサロン(・・・というものがどういう場なのか知っているわけではないけれど)。

そのような雰囲気がコンサルファームには有ると思っていて、それが私にとって何とも居心地が良い。

 

 

コンサルファームってどんな場なのだろうか。

  • アカデミックに突き詰める大学の研究室
  • 同じ趣味を持った仲間が時間を忘れて没頭するサークル
  • 自分の知らない世界に踏み入れるために通うサロン

最近は色々と変質しているのも事実だが、私が理想とするファームの姿はこれらが融合したものであり、まだこういう雰囲気が残っているかな、と思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です