「仮説検証」でスタッフが示すべきこと

昨日書いた下記の記事に関して。

スタッフが最初に任される作業は「仮説検証」だと思う。
上位者が示したり、ミーティングの場などで打ち出された仮説について、調査および分析を通じてその検証を行う作業。

この際、若手スタッフがやりがちなのは、「仮説を裏付ける材料を探す」ということ。
「こういった情報が有り、このような論理構成にすれば仮説が裏付けられます」というもの。
「仮説は正しい」という前提に立ち、調査・分析を進めるというスタンス。

特に、「頭が良い」スタッフ程、「仮説を裏付ける凄い難しい論理を組み立てました」といった感じで持って来たりする。

これは無意味。

前掲の記事で書いたが、コンサルタントが示す「答え」は必ずしも論理的に導かれているわけではない。2つの方向性が有った時、いずれの「答え」も論理的に「証明」することが出来たりする。

必要になるのは、「仮説を裏付ける」ではなく「仮説を検証する」という意識。上位者などの仮説は疑ってかかることが必要。仮説は否定するために有る。
明確に否定できるものは勿論、「この情報をこのように解釈すると、仮説が覆る」という視点も必要。盲目的に検証をすると、顧客から想定外の切り口で突っ込まれ玉砕する・・・といったことが起こる。

様々な情報を、仮説を否定できるような解釈が成り立つのか、という点から考える。

加えて代替案。では、仮説が覆った時、代替仮説はどのようになるのか。

「どのようにでも裏付けられる」という裏返しで、コンサルタントが示す「答え」は「どこまで行っても詰め切れない」という性質のもの。
「最も『もっともらしい』答えを探す」のがコンサルタントの仕事だと思う。

つまり、代替仮説が無い限り、仮説は正しい。

若手はまず、このようなスタンスで臨むことが必要だと考える。

この点の意識は希薄になりがち。

上位者が示した仮説を「正しい」という前提で検証に入る。また、「仮説が正しい」という情報を探し出す/論理を組み立てることが「優秀」であるかのような誤認が有るように感じる。

そして、情報収集とそれに基づく論理の組み立てをもって「仕事をしている」という錯覚に陥る。これだけでも結構な作業量であるが故か。

これらは完全に思考停止状態。

コンサルタントとは何を考えるべきなのか、について意識を払うべき。

これに関しては、スタッフの生意気さが減っているということも感じる。
スタッフと論争になることが最近は非常に少ない。

上位者の意見に対して非常に従順。「学校の先生の言うことは正しい」という認識(これ自体が間違い)と同様に「上位者の言うことは正しい」と盲目的に信じているような。

パートナーなどと比べてスタッフの方が経験が浅い。
それ故に、経験則から答えを導くことが出来ない。

しかし、経験則から導き出された答えは往々にして外れる。固定観念に囚われて視野が狭まる/時代の変化に付いて行けていないことが生じ易い。そうすると、「経験が無い」ことは強みになる。

だからこそ、その強みを活かし、示された仮説に対して純粋な気持ちで臨み、「事実と論理だけで考えると、このような考えの方が自然じゃないですかね」という反論をして欲しいと思う。

否定的な目での検証を経ていない提言は、結構怖い。

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