「痛い目」に遭う経験も必要

優秀と評される人が、あるタイミングで大きく躓く経験をすることは多い。

結構多いのが、入社直後に「非常に優秀」と言われたスタッフが、アソシエイト辺りで完全に伸び悩み、そのままアウトするケース。それまで「躓く」もしくは「挫折」という経験をしたことが無い人が初めて躓いた時、慣れていないのでちょっとした躓きが大転倒になっている、とも感じる。

一方で、マネジャー以上で評価されている人は、スタッフ時代に「抜群」ではなかった場合も少なくない。

 

社会人になると、幾度かの「ギアチェンジ」が必要となる。そして、これはかなり意識することが必要。

大きなものは以前に書いた。

takashi-kogure.hatenablog.com

 

新卒ないしはそれに準ずる立場で中途で入った人だと、最初にギアチェンジが必要になるのはアナリストからアソシエイトへの変化だと思う。

 

「アナリストとして優秀」と評されるのは、主に、情報を集めたり、集めた情報を基に分析をして、一定の事実を示すという点で長けている場合だと思う。

これは、結構慣れのようなものも多く、大学時代にそれなりにやっていたり、入社前に意識的に「練習」を積んでおくとスタートダッシュをかけることが出来たりする。

 

しかし、これで評価される期間は非常に短い。「アナリストからアソシエイトに移る際に必要なこと」とは書いたが、実際には、「アナリストとして優秀」と評価された次からは「アソシエイトとして」見られると考えた方が良いかも知れない。

正確に言えば、「アナリストとして優秀である」というだけだとアソシエイトの昇格要件を満たすことにはならず、「アソシエイトとしての態勢が整った」ということが必要で、その点を見られている、ということかと。

(アソシエイトの昇格でそこまで厳しく見るファームは少ないが、少なくとも「アソシエイトとして戦力になるか」は見ている)

 

ここで一度、求められる付加価値が大きく変わる。

「補佐」的な役回りから、「主体」として案件に携わらなければならない立場になる。任される仕事の範囲が大きく拡がる。

この場合の「仕事の範囲」とは、仕事の種類についてもそうだし、加えて、責任範囲といった要素も含まれる。例えば、同じ調査であっても、作業設計を任されることも増えるだろうし、レビューにおける上位者の前提、つまり「この辺は細かく見なくても大丈夫であろう」(そこまでは任せて大丈夫)という認識なども変わる。

 

しかし、その変化に、特に意識面が追い付いていないケースも多い。少なからず「変わらなければならない」ということは気付くのだが、どの程度変わらなければならないのか理解出来ていないし、変わるための取り組みも不十分になる。

その結果として、付加価値が全く出せずに自信を失い、更に付加価値は出せず・・・という悪循環に陥り、最終的にはボロボロになるというケースも多い。

 

このような悪循環に陥るのは、アナリストからアソシエイトへの転換だけでなく、アソシエイトの中でもシニアなアソシエイト(裁量の範囲が大きくなる立場)への転換など、他にも幾つかの場面で起こり易い。

思い出すのも嫌になるような「痛い目」に遭うということ。

しかし、こういった「痛い目」に遭うという経験は、成長の過程で必要なことだと思う。

勿論、予め必要な「ギアチェンジ」を認識し、すぐに順応できることが望ましいとは思うが、実際には難しいと思う。前述の通り、「どの程度変わらなければならないのか」などは、経験しないと理解出来ないことも多い。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉も有ったりするが、やはり、経験しなければ得られない感覚のようなものは必ず有る。

 

痛い目に遭うこと、キツイ思いをすることなど、自分にとって苦しみとなるようなことを避ける人も多い。しかし、そういった人は、結局何処まで行っても逃げるだけの人生となると思う。

 

自分がどのようなステージに居て、何が不足しており、それをどのような形で埋めて行くのか。また、何が自分自身の差別化のポイントで、それを強めるために何をすべきなのか。

そのようなことを考える機会として、「痛い目」を成長の節目に変えて行くことが必要なのだと思う。

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