最近一緒にやっているスタッフ。プロパーのアソシエイト(アナリストを卒業している)なのだが、Excelの基本が全く出来ていないことに驚いた。
聞くと、これまでのプロジェクトでは殆ど「分析」ということをやっていなかったらしい。
これは他のスタッフも同様のことが言えるのだが、「事実(ファクト)に基づいて語る」ということが非常に疎かになっている。他のスタッフと話していた際にも、調査結果の報告を聞いていて「本当にそうなの?」と聞くと「そこは私の推察です」という答えが返って来た。
「事実」と「推察」を区別することなく伝えることに違和感を持たずに進めている。
これは、スタッフの能力云々の問題ではなく、育成する側の問題。
経験が浅いスタッフが物事を語る場合、必ずファクトに基づきロジックで語ることが必要。この点については、呼吸するが如く自然にできないとまずい。
そのような形を身体に叩き込むことが、特に若手に対しては必要となる。
パートナーという立場になると、他のパートナーがどういう仕事の進め方をしているのかが見えない。ただ、これらのスタッフの仕事の進め方を見ていたり、その際に話を聞いていたりすると、かなり「適当」な仕事の進め方をしているチームが有ることを強く感じる。
とは言え、スタッフ自身が「しっかりとした育成をされなかったことが問題」と言っても始まらない。指摘をすると「そういう指導をされなかった」、「そういう経験をして来なかった」と言う人も居るのだが、「コンサルにとって何が必要なのか」ということを自ら考え、行動をして行くことが必要。
「数値分析の能力が必要」もしくは「ファクトとロジックで語ることが必要」といったことは、改めて指導(指摘)されないと分からないようなものではないはず。それを「指導されなかった」、「経験しなかった」と言って放っておくようだと、少なくともコンサルタントとしての先は無い。
結局、「教えてくれなかったからできない」という発言と同じこと。
コンサルタントは多岐にわたる、かつ、常に変化する知識・能力を身に付けることが必要になる。これはマネジャー以降になっても同様で、終わりがない。
「何が必要なのか」を自分で考え、自分で習得するという行動を続けないといけない。
加えて、自分の成長を環境に委ねるのは非常に危険。「環境が悪いから成長できない」のだとすると、自らのキャリアを運に委ねることになる。
自分の身は自分で護るしかない。
指導一つ取っても、パートナーやマネジャーによって力を入れる/入れないはかなり差が出る。また、力を入れるか否か以前に、指導するだけの力の無い上位者も少なくない。
(数値分析を指導する以前に、自分自身が数値分析をできないマネジャー、等)
勿論、力を入れる人であっても相手を選ぶ。「育成の価値が無い」と判断すれば、適当に使って終わりにする。
最初からアサインを選ぶことは難しいが、しっかりとした指導を受けられる人の下でやりたいのであれば、その案件に入れるような働きかけをする。逆に、実力が付かない案件に入らないで済むような働きかけをする。
もう少し言えば、案件単位で見た「良い環境」は、自ら考え行動できるスタッフに優先的に与えられる。「環境が悪いから成長できない」という人に「良い環境」はなかなか回ってこないと思う。
アサインの調整をする際など、「この案件は育成上、非常に良い」という案件は、「誰が育成に値するのか」という尺度でアサインする人を決めている。「環境が足りていないから成長できていない」という思考をするスタッフには環境が与えられない。
ファームも上位者も、スタッフのキャリアのことなど全く考えていない、と思った方が良い。「力が付く案件だから」といったことを口先で述べていても、単に「やりたがらない案件だから、やる気にさせよう」程度に思っていることも多い。
勿論、能力のバランスを見て不足している点を補うためのアサインをする、などということを期待しても無駄。ファームにとって都合の良い形になるようにアサインしている。
まずは、自分自身が「優先的に扱われる」スタッフになることが最も重要。「育てる価値が有る」と思えないスタッフの育成を真剣に考える上位者というのは珍しい。
その上で、自分で環境を選ぶこと。これはファームの中外問わず。
キャリアは自己責任。
コンサルファームに限らず、会社も上司も、スタッフのことなど真剣に考えていない。
他者に期待すると、気付けば手遅れという状態に陥る。
ファームや上位者に期待しないこと。
必ず外も見て、自分自身の現状を客観的に捉えること。
何が足りなくて、どのように補うのかを自分の頭で考え、行動すること。
中で得られないなら外に出ること。
これらが、自分の身を護るためには必要だと思う。