先ほど投稿した「書籍録『経営戦略概論』」に絡んで。
戦略コンサルタントとしてやって行く上では一定の理論習得が必要となる。
経営戦略論然り、組織論然り。
物事を考えて行く上でやはり理論は非常に大きな意味を持つ。
一方で、理論に基づいて語っているだけでは限界が有ると思っている。
特に自然科学ではない経営については、経験則が意味を持つ部分も多い。
戦略コンサルタントとして顧客に提言をする上で、「理論」ではなく「持論」で語れるようになるか、というのは転換点になると思っている。
理論で語る限り、どうしても(明確に述べないにせよ)「誰々が提唱した〇〇理論に基づくと」ということになり、それは言うなれば、自覚が有るか無いかは別として「偉い人が言っている」ということが根拠になっている。
それはある種の逃げ。
理論に自身の臨床経験が積み重なり、更にそれらが抽象化された時に持論に昇華する。
これは論文として形式化される理論とは違い、客観性に欠けたり完全に体系として確立できていなかったり、そして時間と共に変化するのだが、これを言い切れるようになると迫力が変わると思う。
言ってみれば「出所:私」で堂々と物申せるのか。
必要に応じて、理論(もしくは教科書論)上の模範解を否定できるのか。
これは、ある意味失礼の極致で、非常に危険なこと。
その領域において自分を圧倒する経験・実績をお持ちの方に対して「私が思うに」と語り出すということ。玉砕も生じる。
しかし、ここに辿り着かないといけない。
そのために、まずは理論は徹底的に学ぶこと。あくまでも「理論」を基に経験を重ね合わせたのが「持論」。
加えて、数多くのプロジェクトを「徹底的に洞察しながら」進め、一つ一つのプロジェクト(=臨床経験)を抽象化して自分の中でストックすること。その際に理論が役に立つ。
プロジェクトでの顧客の思考・行動等を理論に照らし合わせると、その原理が見え易い。プロジェクトの後に関連する理論書を読むと、毎回、様々な示唆が得られる。これらの積み上げが持論に繋がる。
持論に自信が出て来ると、景色が変わるように感じると思う。