因数分解・抽象化・具体化

戦略コンサルがやっていることは究極的には「因子分解」、「抽象化」、「具体化」という3つの要素に絞られると思う。

課題抽出をする際などには因数分解。

課題は基本的に「あるべき姿」と「現状」のギャップの中でボトルネックになる部分だが、あるべき姿を起点にその実現要件を徹底的に因子分解する。

その上でそれらの因果関係付けなどを行い、メカニズム(成功のための道筋や、問題発生の背景等)を明らかにする。

その際に重要なのが抽象化。

最初から個別解を示しに行くと、枝葉末節に意識が移り本質が見えて来ない。本質を突いて頭の働かせ方を切り替えるのがコンサルの仕事だとすると、そこが見えなければ始まらない。

一度抽象化(モデル化)し、「要するにこういうことですよ」という示し方をすることが不可欠。
その上で具体化に進む。

因数分解が必要なのは、思考の漏れを防ぐことと、議論を整理することが目的。
いわゆる「MECE」というものはここで出て来るものだが、最初に考える際には少なくとも頭の中でしっかりと因数分解をし、取りこぼしていることがないかをしっかりと確認する必要が有る。
また、ここでしっかりと因数分解をしないと、議論が「思い付き」的になり迷走し易くなる。

一方で、MECEという呪縛に囚われてもいけない。「作業」の上でMECEに物事を考えることが必要だが、それをそのまま顧客に出してはならない。くどいだけで、何が言いたいのかぼやける。
意味が有る因子だけを取り出し、繋ぎ合わせ、抽象化に繋げることが必要。

抽象化と具体化についてはいずれか一方では片手落ちであり、両面揃って初めて意味を成す。そして、その順序は必ず抽象化が先。
(細かく言えば、抽象化をする際の作業プロセスの中で一度具体化は含まれるのだが)

同じ1枚の紙でも、しっかりと考え抜いた上での1枚なのか、単に思い付きで浮かび上がった1枚の紙なのか、これはコミュニケーションを通じて相手に必ず伝わる。

100枚分の作業をして100枚の紙を示すことも愚。
1枚分の作業だけをして1枚の紙を示すのも愚。
100枚分の作業をして1枚の紙で示す。これが重要。

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