コンサルタントに限らず「結論を先に言う」ということを癖付けられることが多いと思う。
このように敢えて癖付けをされるのは、元々の日本語の使い方と異なるから。
日本語は本来、「(理由)だから(結論)」という構造の方が自然な流れになる。一方で英語の場合には「(結論)because(理由)」という方が自然になる。
そのため、意識的な癖付けが必要となる。
ところで、必ず「結論を先に言う」べきなのか、という点を考えると、私はそうは思わない。私は敢えて「結論を後に言う」ということも行う。
勿論、基本的には「結論を先に言う」方が望ましいのだが、相手の認識(=想定している結論)と大きな乖離が有る時には、理由を先に述べる方が良い場合が有る。
前述の通り、「結論を先に言う」は日本語の通常の構造と逆になるため、訓練がされていない人には違和感が有り、乖離が大きい場合には理解を難しくする。
加えて、結論を聞いただけで反論に移るケースも有る。
そのため、じっくりと理由を述べ、段階的に納得してもらい、認識の乖離を埋めた上で結論を聞いてもらう、という形を取る。
裁判で、基本的には主文(「懲役〇年」といった判決)が先で、理由が後。しかし、死刑判決の場合には理由が先で主文が後と聞く。
(最近は主文が先に来ないと死刑だと分かってしまう、といった理由から、無期懲役でも主文が後というケースも多いらしいが)
これには、被告人のショックを和らげるという意図と、理由をしっかりと理解させたいという意図が有るらしい。
これに近いものが有る。(例えが悪いが)
また、結論を後に言うのは(これまた言葉が不適切かも知れないが)「相手を追い込む」という意図も有る。
論理を一つ一つ段階を踏んで理解してもらう。最初は認識との乖離が小さい所から述べ、一つ一つ「こうですよね?」を繰り返す。そうすると、気付けば結論を理解せざるを得ない状態に追い込むことが出来る。
勿論、これはあくまでも「理解する」ということで、「納得する」とはまだ乖離が有るので更に手を打つ必要が有るのだが、少なくとも「理屈の上では分かった」という状態を作るのは大きな意味が有る。
ちなみに、コンサルファームのスライドテンプレートはどこでもキーメッセージが上に有ると思う。
しかし、私はたまに、この掟も敢えて破る。ボディを上に書き、矢印で導いて下にキーメッセージを置く。
この理由も同じで、メッセージ以上にそこに至る理由・背景をしっかりと理解して頂きたいため。
この場合、プレゼンにおいても一つ一つの要素を語り掛け、相手の気持ちを確認するように述べる方が効くと思う。
「もういい、メッセージは言われなくても分かる」
このように言われるように持って行くのも、一つの形だと思う。