プレゼンテーションを上達させるために

私はプレゼンテーションが上手いと言われることが多い。他部門から「小暮さん(仮名)のプレゼンは一見の価値が有ると聞いたので」と、無意味に同席して来た人も居た。

 

私は間違えても技術的に上手くはない。むしろ、喋り方は下手な部類に入ると思う。

また、マネジャーの途中まではプレゼンに対してはかなり強い苦手意識を持っていたし、フィードバックでも改善要素として挙げられるケースが多かった。

しかし、マネジャー終盤で自分でも明確に変わったと感じ、パートナーからも「凄い変わったな」と言われた。プレゼンの場で上手く空気を操れるようになった、といったような感覚を自分でも持つようになった。

 

 

プレゼンが上手く行かないのは

  • 言いたいことが明確になっていない
  • 説明が冗長になっている

という2つの理由が大きいと思う。

言い換えると「言いたいことを明確にする」、「説明を簡潔にする」という2点を徹底的できれば、プレゼンテーションは相当に上達すると思う。

 

まず前者について。

プレゼンが上手くない人は、全体を通じたメッセージが研ぎ澄まされていないケースが多い。

たまに、各ページ毎に「何を言うべきか」を事前に決めている人が居る。しかし、プレゼンで重要なのは、その提案書なり報告書なり全体を通じて何を言うのか、ということ。これに照らし合わせると、各ページ毎のメッセージを一つ一つしっかりと伝えるのは、むしろ逆効果にもなる。思考や意識が逸れる。

報告書であれば「あなた達はこうすべき」という結論と、そこに至る明確な根拠。

以前、「『報告書』について」でも書いたが、膨大な報告書であっても言うべきことは非常に簡潔にまとめられているべきだが、それが出来ていない。

とにかく全体を通じたメッセージを研ぎ澄ませ、それをぶつけることに意識を集中することが必要。

 

加えて、往々にして説明は冗長になる。

色々と調べ、考えたので、言いたいことが山ほど積もっている。しかし、研ぎ澄まされたメッセージに沿っていないものは必要が無い。

とにかく、喋ることは絞り込んだ方が良い。

 

ここまではかなり意識している人も多いと思う。しかし、そのような人でも抜け落ちているのが、説明が冗長になるもう一つの理由。

それは、確かに論理構成上で説明した方が良いが、相手の「認識」と「現実」に乖離が無いので、敢えて伝える必要性が無いという場合。

先日書いた「『現実』と『認識』の乖離」でも触れたこと。要するに、聞き手として「言われなくても分かっている」ということを延々と説明するケースが非常に多い。

特に、予めプレゼンの準備を徹底的に行って来た場合などには「喋りたいこと」を全部言い切るまで終わらない、ということが生じる。相手不在の独演会。

 

このような状態が生じる理由として、プレゼン中の相手の動きが見えていない。

先のページに進んでいる、資料以外の方に目線が行っている、等々。キーマンにこのような動きが見えたら、説明はなるべく割愛した方が良い。

逆に、次のページに進もうとしても前のページが気になっている場合には、少し間を取るなども必要。とにかく、相手を良く見る。

 

 

私がプレゼンに向けて、何をしているのか。

 

まず、提案にせよ案件の報告にせよ、資料が固まるまでに「これだけは覚えておけ!!」と端的に言い切れるレベルまで、メッセージをとにかく研ぎ澄ませる。これは大前提。

 

プレゼンに際しては、自分が喋る資料の構成は必ず最後は自分で確定させる。おおよその流れをイメージした時に喋り易い構成に変える。

その上で、プレゼンの「練習」は一切しない。勿論、ざっとした流れは前述の構成確定の段階である程度イメージする。しかし、相手の動きを見て進め方や話し方などは変える(特に初見の相手の場合、真面目な感じで行くのか、少し砕けた感じで行くのかなど、「ノリ」もその時々で変える)ので、予め自分の中に型を作ることはしない。

その代わり、資料の各ページの大まかなメッセージとボディのイメージだけはしっかりと頭に入れておく。

そして、プレゼンの際には、基本的に相手の手元の資料を見ながら喋る。相手の顔を見ながら、必要な時は相手の手元の資料に少しだけ目を動かし、内容を思い出して喋る。

これにより、自分の意識を「現実」と相手の「認識」の乖離に絞り込む。どこで引っ掛かるのか、どこは流れるのか。これを相手の表情を見ることで捉え、スピードなどをコントロールする。理解されていないようであれば詳しく、例示なども加える。

 

そして忘れてはいけないのは、「自信が有る俺」を演じること。

「仕事の場では役者になろう」で書いたが、その中でも最も演じるべきなのがプレゼンの場。これはまさに「舞台」。

姿勢や挙動を含めて、一流コンサルタントを気取る。これが絶対不可欠。

 

自己暗示にかけ、「さて、ショーを始めるか」という気分でプレゼンの場に立ち、そして個別のページを喋っていても「他は忘れてもいいから、これだけを覚えておけ」というメッセージをオーラとして発するような意識をもって臨んでいる。

 

あくまでも私のやり方だが。

 

 

ちなみに、技術的に上手いプレゼンは、伝えるべきものを相当に洗練させない限り逆効果になる可能性が高いと感じている。

技術的に上手いと聞き心地も良いのだが、しっかりと作りこまれていないと右から左に流れて行く。むしろ、技術的に下手な方が「理解しよう」と聞いてくれ易い、と感じている。

勿論、程度問題だが。

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