働く場所を選ぶ際には自分の判断軸で選んだ方が良い

採用面接の際などに強く感じるのは、コンサルタントに応募して来る人のかなり多くが応募する先を間違っている、ということ。

資質もしくは志向、それぞれの面で「進むべき道はコンサルタントではない」と感じることが多い。

 

その理由は

  • コンサルタントという仕事についてしっかりと理解していない
  • 外的な判断軸で企業を選び、必死でその企業が求める人材像に寄せている

という2つ有ると感じている。

 

前者については、表層的な理解はかなりできている。昔は「そもそもコンサルタントとは」というレベルから理解できていない人も居たが、今はさすがにそれは少ない。

しかし、理解が表層的なので「これは道を外す」と感じることが有る。

 

実際のケースは下記のようなもの。

  • 現役キャリア官僚が「国を変えたい」という理由で来た(昔から一定数来る)
  • イメージで言えば、東大修了・大手エレクトロニクスメーカーのバリバリ開発職(30歳前後)が「将来的にその領域での事業を立ち上げたい」という理由で来た

※後者は実際の領域はエレクトロニクスではないが、その領域は企業数が非常に限定されるので、あくまでもイメージとして

いずれも現職に留まった方が良いので、後者は(欲しい人材ではあったのだが)必至に説得した。

「戦略コンサルタント」というものは非常に優れたものに見えるようだが、できることはかなり限られている。道を誤らないように気を付けた方が良い。

 

 

そして本題は「外的な判断軸で選んでいる」という点について。

 

大学までと違って、働く場所は「偏差値」のようなもので選ぶと痛い目に遭う。

大学に入るまでは「偏差値」という、ある意味で分かり易い単一の尺度で測られていた。この賛否は有るが、それが進路決定を楽にしていると思う。

学校については正直、どこであってもそれほど大差無い。偏差値で選んだことで専門領域に全く興味持てないということも有るが、少なくとも学部生についてはそもそも真面目に勉強しない学生も多いわけで、興味無くても過ごし通せる。

また、入った後に落ちこぼれても、特に大学であれば卒業さえできればその後は無関係。「ラッキー」で入っても「一流大学卒業」というブランドには変わりないので、とにかく入ることが優先。

 

しかし、企業については全く違う。「合わない」からといってサボって遊びに行く、というわけにいかない。合わなくてもやらざるを得ない。

「落ちこぼれ」も辛い。よく「営業職は数字(業績)が人格」というようなことを言われる会社も有るが、コンサルタントもこれに近い。数字ではっきり分かれるわけではないが、「優秀か否か」は非常に明確に分かれる(評価者によって評価がぶれることが少ない)。

しかも、営業と違い、「資質の問題でどうしようもない」ということが生じ易い。

 

そうなると、「合わない」と殆ど強制収容所での労働に近いようなものになる。自分の意志に関わらず拘束されて「働かされる」という印象。

 

コンサル志望者も、「コンサルファームに行くと他者からの評価が高まる」という理由の人が多いように思える。そして、「できるだけ『上』のファームに行きたい」と考える。

特にコンサルファームでの仕事に強い興味があるわけではないが、評価を受けたいから頑張る。必死でファームが求める人材像に自分を寄せに行く。

能力面でも、「採用面接を通る」ことを主眼に一所懸命に対策を練って来ているのが分かる場合が多い。

 

しかし、経験上、「一所懸命に対策を練って」通るようなレベルだと、入社後にかなり苦労すると思う。優秀な人は対策を殆どせずにでも通る。

例えばケース問題についても、面接をしていて「粗削りだな」と思うことが有る。コンサルタントとしての考え方みたいなものがまだ出来ていない。しかし、「ほぉ」と思わせる視点が出て来たりする。

対策をして来たかどうかはだいたい分かるので、その分は割り引いて見ている。

対策を全くしなくて良い、というわけではない。全くしないと戸惑うと思うし、緊張して終わるとなりかねない。しかし、無理に自分を飾り立てることは止めた方が良い。

 

戦略コンサルタントになるのであれば、まずは「考えること」、「他人の悩みを解決すること」に飽くなき興味を持てるのか。「主体」ではなく「客体」としてビジネスに関わることが自分にとって意味が有るのか。

自分自身の価値観に従い、本当に戦略コンサルタントになりたいと思えるのか。ここは問い直した方が良い。

 

その上で、自分の能力に合った所に入った方が良い。

確かに履歴書上の「見栄え」で言えば、なるべく「上」のファームに行った方が良いように感じるかも知れない。

しかし、「どの位置のファームに行くのか」よりも「入ったファームの中でどの位置に立てるのか」を強く考えた方が良いと思う。Tier-1ファームの平均に居るよりもTier-2ファームのトップクラスに居る方が面白さ、成長の度合い、ストレスの感じ方等々、様々な面で良いと私は思う。

優秀でない人のファームでの生活は(特に景気が悪化すると)かなり辛いと考えた方が良い。

 

とは言え、この辺も全ては本人の価値観次第なので、「人から良く見られたい」という価値観であれば否定するものではない。それも一つの判断軸。

 

重要なのは、「自分の判断軸」をしっかりと持つこと。

自分にとって何が重要なのか、楽しさ、成長できるか否か、お金、他人からの評価・・・等々。これは就職・転職の際にはしっかりと見つめ直した方が良い。

 

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