リモートワークではコミュニケーションに意図的な「無駄」が必要

今年の新卒社員が入社して半月が経つが、果たしてどれだけの新卒社員がしっかりと「社会人」としてのスタートを切れたのだろうか・・・と考えてしまうこの環境。

コンサルファームでもリモートワーク前提になっている所が多いと思うが、これは新卒(に限らず新たにコンサルタントになった)スタッフにとってはかなり厳しい環境だと思う。

 

どこの業界でもそうだろうが、特にコンサルタントについては、ファームに入って最初の時期が非常に重要な意味を持つ。

この業界での仕事は、確かに知識やスキルの要素も大きいのだが、その前提として意識がその能力を大きく左右する

 

特に戦略系ファームについては、新卒社員は非常に優秀だと思う。知識やスキルなど、本を読んだりすれば得られるものについては、入社時点でコンサルタントとして必要な水準をある程度満たしている場合が多い。(とは言え、それが故の弊害も小さくないと感じているが)

しかし、意識については不十分、と言うか勘違いしている人もかなり多いと思う。本人は高い意識を持って臨んでいるつもりなのだろうが、コンサルタントという仕事に対するスタンス、顧客との対峙の仕方等々で間違った認識を持ってしまっている。

 

ファームで生き残った人は、入社間も無い時点でこの勘違いを矯正されていると思う。

勿論、一部には入社時点でしっかりとした意識が出来上がっている人も居るが、「ごく一部」と言って良い。しかし殆どは、幾度も厳しい言葉を受けながら叩き込まれたのだと思う。

 

この部分がリモートワークでは難しい。

 

まず、これらは日常的に接する中で感じ受けることを注意する、という形を取る場合が多い。これは「プロセス」を見るため。「アウトプット」だけでは分からないことがかなり多い。

 

リモートワークではどうしても「アウトプット」重視になる。最近、「リモートワークが当たり前になると、アウトプットが重視されるようになる」という「功」の要素として取り上げられているが、育成面で見るとこれがそのまま「罪」になり易い。

アウトプットだけ見ていても、知識やスキル面での指導は難しくないが、仕事へのスタンスなどはプロセスを見ないと何とも言えない部分が多い。

それでも、ある程度性格などが読めているスタッフであれば出来る。しかし、初めて一緒に仕事をするスタッフなどの場合、リモートでの仕事だと表面的な指導に陥ってしまう。

 

他国のオフィスのスタッフとチームを組む際に、現地にマネジャーが居ない(全て日本でコントロールする)状態でほぼリモートで完結させるということを幾度かやって来たが、アウトプットが出て来ない時に、単に作業プロセスの問題なのか、もう少し根深い意識の問題なのかが判別し辛く苦労した。

 

また、意識に関する指導については、前提として「性格」や、その人のそれまでの「経験」等についての理解が不可欠。同じような事象が生じていても、相手の性格によって「言うべきこと」が全く変わるということも多い。

性格は当然だが、例えば受けて来た教育のスタイルなどはかなり直接的に影響するし、親の職業なども意識に対して作用することは多いと感じている。

私と一緒に仕事をしたスタッフは、私が雑談として色々とプライベートなことを聞くと感じているかも知れないが、それはこのような前提認識を得るため。(勿論、セクハラにならないようにとかは気を付けている)

 

ただでさえ最近は、プライベートな部分を知り辛い風潮になっている。

リモートワーク主体の場合には更に、テレビ会議などでも直接的な話だけに留まり易い。オフィスでふと会った際に顔色を見る、ということもできなくなるので、状況把握も難しくなる。

 

そのため、会議の前後に敢えて「無駄な時間」を作ることが必要だと思う。

顧客とのミーティングでも同様なのだが、会議の開始直後や終了後少しの時間、通常のオフィスでのミーティング後の立ち話やタクシーの中での会話のようなものを意図的に作った方が良いかと。

 

効率を重視することが良いということも正しいが、一方で必要な「無駄」も有る。

リモートワークが必ずしも効率が高まるとは限らない。個人単位の作業については結構無駄(非生産的な状態)が生じていると思う。

しかし、コミュニケーションに関しては無駄が無くなる傾向が強いと感じている。

確かに、作業設計であったり単なる作業指示・確認という点では効率的になる。無駄な会議や会話も減る。これらはプラスの面も当然多いが、マイナスの面も少なくない。

 

コミュニケーションだけは、意図的に「無駄」を作ることも必要だと思う。

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