戦略コンサルタントが取り組む対象は「組織」に移っている

この仕事での経験を重ねるに連れ、「戦略コンサルタント」という職の中で見るべき中心は「組織」なのではないかと感じることが多くなる。

そもそも、「戦略コンサルタント」という表現はおかしくて、本来は「経営コンサルタント」の方が仕事の内容を的確に表現していると思う。「戦略を立てること」が仕事なわけではなく、経営における課題全体を対象としている。

その上、近年では「戦略を立てること」に関するコンサルタントの出番が少なくなって来ている。
これは、これまで幾度かこのブログ内でも書いて来たような要因が絡んでいるが、最も大きいのは、不確実性が高まっていることにより、「コンサルを採用してじっくりと戦略を立てる」ということが合わなくなって来ていることのように感じる。

一方で、顧客が自分達で取り組んでいても上手く行かないという状況は、むしろ多くなっていると思う。
不確実性が高まっている、変化が早くなっている。こういった状況は、企業活動を進める中で「ズレ」を生みやすい。
世の中の実態と自社の認識、経営層の感覚と「現場」の感覚、経営層の意図と「現場」の行動、等々。これらの「ズレ」を矯正すること。これがコンサルタントに求められていることだと考えている。

最近のサッカーは、以前のような「このシステムで」といった固まった戦略/戦術で闘うのではなく、試合中に状況を見ながら闘い方を修正して行くことがかなり求められて来ていると感じている。状況をリアルタイムに分析し、それを受けて闘い方を修正し、選手達がそれを実行する。そのような適応能力をチームおよび個々の選手が備えることが求められている。

これと同じことが企業経営にも言えるように思える。
一度立てた戦略を、常に生じる状況変化に適応させて行く。そのような適応能力を持った組織を作り上げる。
そして、このような組織に関する課題は、どうしても第三者的な目線などが必要になって来るわけで、そこがコンサルタントの価値の拠り所ではないかと。

コンサルタントのキャリアを歩む上でも、今までも「組織」に対する洞察力はかなり重要である一方で、かなり軽視されて来た感が有るが、これまで以上に意識的にこの部分を高めて行く必要が有ると感じる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です