パッケージ全体で「何を言うべきか」を考え、徹底的に情報を削ぎ落す

先日Twitterで書いたことに絡んで。

提案書にせよ報告書にせよ、1枚1枚のスライドで「どのように言うのか」を考えることに時間を割く/意識を払う人は多いものの、パッケージ全体で「何を言うべきか」を考え、伝える情報を選別することへの意識が低い人が多いように感じる。

今回の提案でも他社の提案書を顧客から見せて貰ったのだが、1枚1枚はいかにも「コンサルらしい」スライドが並んでいるのだが、パッケージ全体として何が言いたいのかが全く伝わってこない。
各ページが独立した資料のようになっている。しかも「私達はこんなに色々と知っているんです」というアピールのための情報が無駄に多い。

よく「1スライド1メッセージ」ということが言われるが、この言葉が変だと感じている。
メッセージはスライド単位で考えることではない。パッケージ全体で伝えるべきメッセージが有り、そのメッセージを分解して個別メッセージが決まる。
その個別メッセージを分かり易く示すために用いるものがスライド。

「1スライド1メッセージ」という言葉によって「このスライドで何を言うべきか」というような頭の働かせ方になる人が居るのだが、「メッセージのためのスライド」であり、そのメッセージは「全体で何を言うのか」から逆算的に落とし込む必要が有る。
メッセージが先に固まり、その後に「このメッセージを示すためにどのようなスライドが必要なのか」という頭の働かせ方であることが必要。

この際に、「如何に情報を削ぎ落すのか」という意識が極めて重要になる。
スライドに盛り込まれる情報は「必要なもの」ではなく「必要十分なもの」であることが不可欠。無駄な情報が増えるほどに、メッセージは濁る。伝わり辛くなる。

数学の証明がそうだが、無駄なものが有ったら減点。
とにかく、顧客の脳に直線的に/鋭く入り込むように、メッセージとそこに至るロジックを研ぎ澄ませる。なるべくシンプルに。

ちなみに、私はこの「1スライド1メッセージ」というルールをあまり意識していない。
若手のうちはこの縛りを入れた方が良いのだが、マネジャー以上になったならば、この縛りを絶対のものにしない方が良いと思っている。
原則は「1スライド1メッセージ」なのだが、これを意識し過ぎるがあまり冗長になるというケースが有る。

「スライドを作成する」ことをもって「コンサルタントの仕事」と考えている人が多過ぎるのも問題。オフィスでスタッフが座っている辺りを通っていて感じるのは、PowerPointの画面を開いている人の比率が非常に高い。
しかも、色々と書いたり消したりしたり、途中でずっと固まっていたり・・・。

それが故に、「スライドの枚数が多い」ことを「仕事をした」という変な満足感に置き換え易い。

PowerPointを開くのは最後の最後。メッセージ、それを支えるファクト/ロジック、そのために必要な情報や、それらの情報の示し方。
これらが固まって初めて「スライド作成」という単純作業に取り掛かる。

パッケージ作成も個々のスライド作成も「足し算」ではなく「引き算」。
同じメッセージを伝えるために、如何にシンプルにするのか。如何に情報を削ぎ落すのか。

To be simple, to be elegant.

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