アソシエイト時代に一つの案件にどっぷりと浸かることが非常に大切

来週にかけて報告と提案が重なり、並行して大量の処理に忙殺される感じの日々になっている。

この状況で振り返ると、アソシエイト時代に一案件にどっぷりと浸り、顧客/課題と向き合っていた時代の経験が大きくものを言うということを、改めて強く認識する。
一案件にどっぷりと浸った時期が、その後のコンサル人生の大きな資産になる。

この立場になると、一つの案件をじっくりと考えるということは難しい。
全体を俯瞰し、急所に絞って突く。これが必要になる。

これを進めるためには、2つの要素が必要になると思う。

一つは「急所を瞬時に見抜く『勘』覚」。

企業という有機体の「癖」のようなものを踏まえ、「恐らくこうなっている」という勘。これを研ぎ澄ませる。これに長けているか否かは、コンサルタントとして出せる価値に大きく影響すると感じている。

もう一つは「掘り下げて(深く)考えるための『型』」。

「深く考える」ということは、「考えよう」と思っていきなり出来ることではない。
若い時期から「型」を身に付けるための意識的な鍛錬の結果として、出来るようになることだと思う。

スキーを滑っていて、緩斜面をゆっくりとしたスピードで綺麗に滑ることが出来ない人は、急斜面やスピードが上がった際にバタバタになる。
多分、このようなもので、比較的易しい課題からゆっくりで良いので丁寧に考える。これを繰り返す中で徐々に難しい課題を、スピードを上げて解決できるようにする。

この積み重ね。
「質」のためにはまずは「量」が必要、というのはこの辺り。

この2つについて、後者は資質に依る部分も大きいと思う。出来ない人はいつまで経っても出来ない。

一方で前者は、経験が全てと言っても良いと思う。
アナリスト時代だと「作業をこなす」ことだけで精一杯で「洞察する」という勝負まで行き着かないと思う。しかし、マネジャーの後半以降では一つの案件に向き合うということが難しくなる。

アソシエイトからマネジャーの前半位にかけては、とにかく一つの案件にじっくりと向き合うこと。徹底的に深く考えるということ。
これらを通じて、組織に対する臨床経験を積み上げる。結果として「勘」覚が磨かれる。

出来れば、能力の高いシニアなコンサルタントにその案件に対する見立てを聞き、自分の見立てとの差を考える。
必ずしもシニアの見立てが正しいというものではないし、そもそも「正解」が有るものではない。その結論に至った過程・背景等を聞き、自分が見えている部分、見えていない部分等を確かめ、考え直す。

この繰り返しで蓄積されるものが、その後のコンサルタント人生での土台になると思う。

良くないのは、若手のうちから「こなす」ことを繰り返すこと。大量の作業に忙殺され、ただひたすら効率性を追求するようなパターン。
マネジャー後半以降は「こなす」ことも必要だが、それまでは一つ一つにしっかりと向き合う。
この時期に、どれだけ「無駄な思考」をしたのかが重要。

アソシエイト時代にしっかりとした「勘」覚と「型」を身に付けられていないことが、表層的な「問題解決スキル」と言われるものや作業スキルに長けた「高級文房具」を量産している要因のように感じる。

とにかく、アソシエイト時代に一つの案件にどっぷりと浸り、案件をしゃぶり尽くすこと。

コンサルタント人生を決める、極めて大切なことだと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です