特に転職希望者を見ていて思うのは、人材エージェントについて「自分(転職希望者)のことを第一に考えて行動してくれる」と勘違いしている人が非常に多いということ。
エージェントの言うことを真に受ける人が多過ぎる。
これは大きな勘違いだということを覚えておいた方が良い。
人材エージェントは応募者の側に立っているわけではない。エージェント自身の収益を最大化させることを第一に考えているし、強いて言えば(手数料を多く払ってくれる)企業側に立っている。
これは別に、人材エージェントが間違ったことをやっているというわけではない。
ビジネスとして当然のこと。
転職希望者の方が間違っているだけ。
転職希望者はエージェントに対して一銭も支払っていない。
これを強く認識すべき。
エージェントの収益は基本的に全て採用者(企業)側から受け取っている。年収の一定率を受け取る契約。エージェントにとっての顧客は明確に「企業」で、転職希望者は「商材」に過ぎない。
勿論、良い商材を仕入れ、成約まで結び付けることが重要なので丁重に扱うが、別にその転職希望者のことを最優先して考えるというわけではない。
コンサル業界は、転職を決めた人が近い将来に再び「商材」になる確率も高いのでまだ良い方だが、それでも「悪質」とも感じるようなエージェントも少なくない。
採用する側としてエージェントと付き合っているが、たまに、人材採用を強化するために手数料率を引き上げることがある。例えば40%だったものを50%といった具合に。
そうすると、露骨に応募者が増える。数倍単位で変わる。
(あるエージェントは「応募者を増やしたければ手数料率を引き上げてください」と明確に要求して来た)
確かに、年収800万円で10%料率が違えば80万円手数料が変わる。
人材エージェントの担当者は収入の歩合比率が高い所も多いので、この影響は大きい。
こういった行動原理が働いていることを前提に、人材エージェントと付き合うことが必要。
当然、親身になって相談に乗ってくれるエージェントも居るし、エージェントを使わずに応募するというのも(特に業界未経験者にとっては)どうかと思う。
信頼できるエージェントと出会うことが出来れば、非常に有益だと思う。業界横並びに見ているので情報量も多いし、書類の書き方や面接への臨み方など、勉強になることも多い。
しかし、特に各ファームに関する情報についてはバイアスがかかっているという前提で臨むべき。
そもそも、無料の相談で自分にとって最善のアドバイスがもらえると考える方が間違っている。
これはFP(フィナンシャルプランナー)の相談などもそうで、「無料FP相談」というのは基本的に保険(もしくは他の金融商品)の営業活動。ボランティアでFP相談に乗るという人はかなり稀だと思う。
FPについては1時間1万円といった、相談者が報酬を支払うタイプの有料FPも増えて来ている。
キャリア形成についても本来はそうあるべきだと感じる。
本当に親身に相談に乗って欲しければ、自分で相応の金を払うべき。