コンサルタントに必要な資質

前回、「コンサルタントには天性の資質が必要」と書いたが、では、どのような資質が求められるのか。

結論としては

  • 論理的思考能力
  • 抽象化能力
  • 好奇心
  • ひねくれた性格
  • ドM

という5つ。前2つが能力で、後ろ3つは性格。

戦略コンサルタントに必要な能力として良く上がるのが「論理的思考能力」と「コミュニケーション能力」だが、コミュニケーション能力については訓練によって対応できる一方で、論理的思考能力は天性のものが必要だと思う。

論理的思考能力

これは天性の資質に訓練を掛け合わせて出来上がるものだと思う。戦略コンサルで求められるレベルは、訓練だけで通用するものではない。必要レベルの資質を持って生まれた人が、相応の訓練を積むことで出来上がるもの。
もう少し詳しく言うと、資質が多少欠けていても、訓練を積んだ上でじっくりと時間をかければ求められるレベルで論理的に物事を考えることができるようにはなると思う。

しかし、これだと時間に追われた仕事をする時に品質が落ちるのと、何よりも本人にとって辛い。

この能力はコンサルの仕事の根本の部分で、常に求められると言って良い。その部分で辛さを感じてしまうのでは続かない。
「論理的に物事を考えるのってどうやるんだろう・・・?」と改めて言われると困るくらいに、自然に論理的に考えている。この位でないと厳しい。

ちなみに、コミュニケーション能力については、

  • 相手の話していることと、その「行間」を理解する
  • 伝えたいことをしっかりとまとめる
  • 相手に伝わるように書く/話す

ということが求められるわけだが、いずれも訓練で身に付く。

例えば性格的に人見知りする、口下手、あまり社交的ではないといった人でも、一定の訓練と場数、そして熱意を持って臨めば受け入れてもらえるし、そのような人を好む(社交的な人を警戒する)ような経営者も居る。
但し、「訓練で身に付く」と言っても、無くてこれから訓練を施す人よりも、既に身に付いている人の方が良い。当然、採用面接でこの点は見る。

社交的、喋りが上手い、といった必要は全く無いが、上記3点は採用面接に臨むまでには解決している必要が有る。

もう一つ能力面で行くと抽象化能力

「因数分解・抽象化・具体化」ということを書いたが、因数分解と具体化は訓練だが、抽象化については能力と言うかセンスが必要になる。
雑多な情報から枝葉末節や例外を切り捨て、「要するにこう」と本質を切り出すこと。これは、積み上げ的に考えて行っても出来ず、直感的に導き出すことが必要になる。

センスだけで出来るものではなく、知識と経験を数多く積むことで高めて行くものなのだけれど、知識・経験をかなり積んでいても分析的説明までは至るが、抽象化まで辿り着かない人が多い。

但し、この能力は「コンサルファーム」で生きる上で絶対不可欠かと言うと、そうでは無いとも思う。これが無くてもテーマなどの選び方や他の強みを武器とすることでパートナーまで行ける人も居る。
この点については私の個人的な考えで、「コンサルファームで生きる」ではなく「戦略コンサルタントとして生きる」上では必要、と捉えた方が良いと思う。

それ以外で必要な資質は性格的要素になるが

  • 好奇心
  • ひねくれた性格
  • ドM

という点だと思う。

(上手い表現が思い付かなかったので、取り敢えずこのような表現にした:今後、思い付いたら直す)

好奇心

これが一番重要な要素。極めて強い好奇心は、論理的思考能力以上に求められるものだと思う。

戦略コンサルタントの仕事では、常に新しい業界・テーマに取り組んでいると言っても過言ではない。そのため、プロジェクト開始時には専門書や業界紙の読み込みなどをすることが多い。そのような「新しいことを知ること」を楽しいと思えるかどうか。

また、調査・分析の仕事は基本的に「なんでこうなっているんだろう?」という問いの繰り返しになる。何らかの事象を見付けた際に、その要因・原理などを「知りたくて仕方ない」と思える性格かどうか。

これが非常に大きな要素になる。

ちなみに、優秀なコンサルタントはどこで使うのか分からない無駄な知識(良い言葉を使えば「雑学」)を多く持っている人が多い。これが共通点。

ひねくれた性格

通説を疑ってかかること、違った視点から物事を見ること。これが戦略コンサルタントの仕事の基本。これができないと価値が出せない。

顧客や業界有識者、上位者の話などを素直に聞くような人では厳しい。

例えば学校生活でも、教師の言うことを素直に受け止めるのではなく、まずはその教師が信頼に値するかどうかの値踏みをすることから始める。その位の性格が必要。
色々な人の意見を真摯に受け止める(聴く)ことは重要(成長の上でもこれは不可欠)なのだが、最初から受け入れる(聞く)のではなく、一度「本当にそうなのか?」と疑ってかかり、確かめる。それで納得したらしっかりと受け止める。

個人的に「優等生」タイプはコンサルとしては通用し辛いと思っている。親や教師の言うことに素直に従って生きて来ると、どうしてもこの部分が弱くなる。

とは言え、見た目「優等生」でも実は中で疑ってかかっている、という人も少なくない(これが健全な姿)ので、「『優等生』タイプだからダメ」とは考えていないが。

ドM

やはりこの仕事は辛い局面も多い。その時に笑って取り組めないと続かない。
特に若手のうちは、地道な作業を延々と続ける、という時期も少なくない。そのような時に目的をしっかりと見定め、それに向けた過程を自分を追い込みながら進める。

これができるかどうか。

この点については、採用面接で見ているところをマネジャーに教える際などに考えることが多いが、他にも思い付くことは有る。

ここに挙げたのは、あくまでも現時点で「ある程度自分の中で確信となっている」要素だけ。

要するに、理屈っぽい変人・・・?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です