「やったことない」ことの「やり方」を自分で考えることに意味が有る

昨日Twitterで書いたことに絡んで。

初めて経験する案件にアサインされた時、「やったことが無いので」と完全受け身になる人が多い。未経験の案件の場合、どのように進めるのかを「教えてもらう」というスタンス。

このような人は、精々「マネジャーになって終わり」だと思う。マネジャーとして生き続けることも難しい。

マネジャー以上は必ず、その案件についての経験が有り、「やり方」を分かっているということが前提になっているのではないかと感じる。

しかし、これは必ずしも正しくない。

確かに、経験しているテーマが多いとは思うが、必ずしもそうとは限らない。

戦略コンサルタントが取り扱うテーマは常に変化する。また、本来であれば戦略コンサルタントに依頼されるようなテーマでないものが、ある経緯によって依頼されたりもする。

そのため、今までファーム内であまり経験したことが無い案件といったことも生じるし、これまで担当して来た顧客からの案件ということで、自分自身では経験が無いテーマに取り組むといったことも生じる。

加えて、同じテーマであっても、顧客事情等により「やり方」は大きく異なる。

また、昇進速度が早ければ特にだが、スタッフ時代に経験できる案件数は限られる。

私の場合はアソシエイト1年目の終わり位からマネジャーが付かない(パートナー直下での)案件に入ったため、マネジャーの下で経験した案件数は7,8件といったところ。

そのため、マネジャー以上になって、更に言えばパートナーになって以降も新しいテーマに取り組む必要が有るし、その際には「やり方」を誰も教えてくれない。

色々なものを参考にしながら、自分で考える。

但し、特に「知識」で勝負する人が居る領域では、自分なりの「色」の出し方をかなり意識して「やり方」を組み立てる。

先日、下記のようなことをTwitterで書いたが、人事制度設計を普通に人事制度設計として回していたら、それは知識・経験に勝る人事コンサルに分が有る。そのため、「戦略案件」と捉え、顧客の本質的課題に踏み込む「やり方」を組んでいる。

まずは、参考となるアウトプットを見た時に、そのアウトプットに至る頭の働かせ方、作業の進め方をどうするのか。これを組み立てられるようになる。

これがマネジャーの最低条件。

そして次に、自分自身でアウトプットを設計できるようになる。あるテーマの時、「自分の『色』を出すためには、このようなアウトプットにする」ということから考える。

新しいサービスの開発はこの延長。

パートナーになると、ここが求められるようになる。

既に「やり方」が定まり、若手スタッフに型を指示できるような案件は、正直、そもそもその案件に高い価値は無いと思う。コモディティ化しているテーマということ。

戦略コンサルタントの単価が他のコンサルタントの単価よりも高いのは、別に「ブランド」とかではなく、顧客自体も「やったことない」し、コンサルタント自身も「やったことない」人が多いから。

戦略コンサルタントの提案書が「作業の進め方」ではなく「考え方」を訴求要素とするのも、これが理由だと思う。

「やったことない」ことの「やり方」を自分で考えることに意味は有るし、自分で考えられるようにならないといけない。

ちなみに、私が人事制度設計を初めて経験したのはマネジャーもかなり終盤の時期。

「人事制度設計の作り方」的な本から読み始め、労基法も初めてこのタイミングで体系的に勉強した。

戦略コンサルタントはいつになっても「既存の知識と経験」だけで生き続けることは不可能。新しい知識の習得が常に必要だと思う。

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