若手のうちは「何をやるか」よりも「誰とやるか」の方が遥かに重要

若手スタッフが「戦略案件をやりたい」(=戦略案件以外はやりたくない)といった意向を示すケースは昔から多い。
そういう自分自身を振り返っても、案件はかなり選り好みをしていたと思う。

個人的に、若手のうちは選り好みせず、色々な種類の案件をやった方が良いと思う。やってみないと見えないことも多いし、視野が広がる。

コンサルタントは幅の広さが必要。例えばハイテク産業を専門分野としたコンサルになりたい、という場合に、ハイテク産業に関する案件は当然経験として役に立つのだが、例えば小売業での案件の経験(視点)が活きたりする。
ソリューション軸でも同様で、業務系の案件をやっている時に、組織・人事系の経験が活きるといったことは非常に多い。

一方で、素直に従っているだけだとファーム/パートナーに都合良く「使い倒される」という状態になるため、「やりたくない」という意志表示も、ある程度評価を受けられるようになってからは大切だと思う。

加えて最近感じるのは、若手のうちは「何をやるか」ではなく「誰とやるか」ということを強く意識した方が良いということ。

特にアナリストのうちは、どんな案件に入っても、やることに大差は無いと思う。調査に比重が置かれている、現状把握に比重が置かれている・・・等々という違いは有るのだが、結局は「作業」の範疇を超えない。
これはアソシエイトになってもそれ程変わらないと思っており、確かに「戦略案件」と言われると何だか凄いことをやっているように勘違いする人が多いのだが、冷静に見るとひたすら単調な作業を繰り返しているだけだったりする。
(上位者も、それを上手く使いスタッフを騙している:実は全然「戦略」じゃない「戦略案件」も多かったりする)

確かに、「戦略案件」特有の、正確に言えば「戦略コンサルタント」特有の考え方というものが有る。

しかし、これは「戦略案件」に携わっていれば身に付くというものではない。
他のパートナー/マネジャーの案件のアウトプットを見る機会も有るが、「戦略案件」だし、確かに「戦略」を考えている案件では有るのだが、「酷く視野が狭いし、短絡的だな・・・」と感じるアウトプットも多い。

結局、しっかりとした人が回さなければ、「戦略案件」とは言っても、「戦略コンサルタント」のそれにはならない。

以前に「私がやれば人事制度設計でも戦略案件になる」といった偉そうなことをTwitterで書いた覚えが有るが、これは本心。

「戦略コンサルタント」とは、扱うテーマの違いではなく、思考方法やアプローチの違いにより規定されるものだと感じている。
そもそも、「戦略コンサルタント」もしくは「戦略系ファーム」が「戦略案件」だけをやっているわけではない。他の案件の比重もかなり高い。
逆に、他のコンサルタントでも「戦略案件」を行うことは有る。しかし、明確に「戦略コンサルタント」とそれ以外は違うと感じている。

そうすると、このような思考方法なりアプローチ、もしくは「視野」、「視座」といったものをしっかりと習得できるような、そういった「場」が若手では重要になって来ると感じている。
加えて、調査や分析といった基本スキルを、しっかりと癖付けるといったこと。

こういったことは結局、「何をやるか」ではなく「誰とやるか」で決まって来る。
こういったことをできない(有り得なそうだが、実際には多い)、もしくはある程度まで言語化することができないパートナー/マネジャーと一緒であれば、「戦略案件」をやっていても、真に戦略を考えられるようにはならない。
一方で、優秀なパートナー/マネジャーの指導をしっかりと受けられるのであれば、どのような案件であっても必ず糧になると思う。

「この人と」ということを明確にし、その人の案件にアサインしてもらえるような働きかけをする。
こういったことが必要だと思う。

勿論、しっかりと自分の評価を高め、案件を選べる立場になるということが大前提なのは変わらないが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です