スタッフ時代に必要な仕事への臨み方

以前、下記のような記事を書いたが、今回は仕事に対する「姿勢」のような点について。

takashi-kogure.hatenablog.com

 

 

多くのファームでアナリストとアソシエイトははっきり分かれているが、敢えて「スタッフ」と一つに括ったのは、本質的にこの2つは同じものだと思っているから。

スタッフとマネジャーの間、マネジャーとパートナーの間という2つのタイミングで非連続的な成長を遂げないといけないと考えている。逆に言うと、アナリストとアソシエイトの間は基本的に同じような姿勢で取り組めば成長できるはず。

(参考:「非連続的な成長のポイント」

 

先日の記事の中で、マネジャーになるまでに「強靭な足腰」と「幅広い種類の案件の経験」を身に付けるべきということを書いたが、それらを踏まえて。

 

スタッフの時期は、とにかくインプット量と作業量を増やし、

  • コンサルタントに求められる知識を一気に吸収すること
  • 調査・分析、スライド作成という基本スキルのスピードを徹底的に上げること

に注力すると良いと思う。

この時期は、案件にアサインされたら、その案件をしゃぶり尽くして欲しい。

 

今の若手は学生時代から、本や人の話などを通じて「コンサルの思考とは」といったことを学んでいることも多いが、当然、外部から実際のコンサルの仕事の本当の中身を見ることはできない。

言われたことを正確に・期限内にこなすのは大前提。その上で

  • 先輩が仕上げたExcelシートを隅々まで、穴が開くほどに見る
  • パートナーやマネジャーが作ったスライドを真似て作ってみる
  • ミーティングのメモを作り、元の文字が見えなくなるまで赤入れしてもらう
  • 隙を見付けて「どうやってこの考えに至ったのか」という頭の働かせ方を聞き出す

等々。

どのような本にも載っていない至極の手本が目の前に有るはずなので、とにかく隙を見付けてしゃぶること。

 

作業スピードについては、早い段階で「分析屋」として優秀な先輩が作業する際に後ろに立たせてもらうと良いと思う。もしくは画面に映しながらやってもらう。

これは「どのくらいのスピードが求められるのか」を理解するため。

若手を見ていると、傍から見ていると作業スピードが遅いのに、出来る気になっているというケースが結構有る。スタッフが作業しているのを後ろに立って見たりすると、苛々する位に遅い・・・とか。

コンサルになった頃にイメージしている「スピードの速さ」の水準と、実際に求められる「スピードの速さ」は違う可能性が有る。この乖離は早い段階に埋めた方が良い。

 

とにかく、スピードが高まるまでは変に「コンサルタント」であることを意識するよりも、「作業マシン」としてのスペックを高める位の意識で良いと思う。イメージとしては入社から1年位。

 

 

その上で、スタッフの卒業(マネジャーへの昇進)時期が話題になり始めたら、経験の種類を増やすことに意識を広げると良い。

 

この局面に至るまでは、複数の案件に同時に入るということは望ましくないと考えている。

ファームによっては複数案件へのアサインをする場合も有るが、私の考えとしては、一本の案件について朝から晩まで考え続け、先輩の一挙手一投足を見逃さないようにする方が良いと思っている。

 

しかし、スタッフ最後の1年もしくは2年は、なるべく数多くの案件に入り、色々なテーマ・色々なコンサルスタイルに触れた方が良い。

マネジャーになると色々と制約が出て来て、なかなか「やったことないけどやってみます」というわけには行かなくなる(やるなら失敗は許されない)。

「経験の種類を増やすために案件に入る」ことができるのはスタッフの間だけと考えた方が良い(苦労する覚悟さえ有ればマネジャー以上でもできるが)。

 

コンサルタントとしての生活も2年目が終わる頃になると、色々と自我が出て来るし、「自分はもっとできる」という自負も生まれる。

最初は先輩の「凄い所」に圧倒されていたのに、だんだんと足りないものの方が目に入って来る。また、やりたい領域、「こんな先輩のようになりたい」というものも徐々に明確になって来る。

けれども、もう少しの間は、奴隷のように、とにかく与えられたこと/言われたことに邁進する方が良い。まだまだ見えていないものが多過ぎる。

 

将来に対して無限の可能性が有ることが、年寄りから見た若手の最大の魅力。

私が「若い頃に戻りたい」と思うのはその点だけ。それ以外の理由では、間違っても若い頃に戻りたくはない。

偏った知識・経験だけで将来像を描き、様々な選択肢を捨ててしまうのは、せっかくの可能性を奪ってしまうことになる。

また、少なくとも私が若手に「こうした方が良い」というものには、自分自身の後悔から来るものも少なくない(案件を選り好んで選択肢を捨てていたのも私の失敗経験)。

若手の視野と年寄りの視野は広さ・時間軸の長さが全く違う。悪いことは言わないから、年寄りの言うことは聞いた方が良い。

 

 

今の時代に許されない表現ということを重々承知した上で、やはり、「スタッフ時代には奴隷であれ」と言いたい。

 

とは言え、ただ言われたことをやる、本当の意味での奴隷にはならないように。

常に頭はフル回転。視座の高さまで奴隷になってはダメで、指示された内容はどんな意味なのか、最終的にパートナー/マネジャーは何を言おうとしているのか、等々、意識だけはあたかもパートナーのようであること。

自分の考えをぶつける→殆どは瞬殺されるを繰り返すこと。

あくまでもその上で、上位者の言いなりになること。

 

本当の奴隷と違って、納得すれば素直に従うということさえ分かっていれば、口答えすることは歓迎されるのがファームという環境。上位者も、スタッフを動かすためには合理的な説明が必要ということは百も承知。

 

重要なのは一つ上の仕事を奪い取ること。

そうでないと少なくとも戦略系ファームでは生きていけないと思う。

1件のコメント

  1. いつも参考にさせて頂いております。新卒コンサルタント2年目です。
    1つ上の仕事をとってくるとは、具体的にどうゆう事でしょうか。

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